ショッキングなモーリシャスでの油流出

世界的に有名なリゾートの一つで、観光パンフレットのキャッチコーピーで「インド洋の貴婦人」などとも呼ばれるモーリシャスで、2020年7月25日、商船三井が運航していたばら積み貨物船「WAKASHIO(ワカシオ)」が座礁しました。

座礁したのは島の南東部のグラン・ポール湾沖で、8月6日には約1,000トンの燃料油が漏れ出しました。その流出した油は、8月10日には、グラン・ポール湾のほぼ全体にまで広がりました(図1)。

流出した油による深刻な被害が予想される地域には、ラムサール条約に登録されマングローブが生育する22haのポワントデスニー湿地と、353haのブルーベイ・マリンパーク、そしてシュノーケリングやダイビングスポットで有名なエグレット島やセルフ島もあります。

今回の油の流出は、沿岸域に広がるマングローブ林や美しいサンゴ礁はじめ、貴重で豊かな海生生物にも多大な影響を及ぼすだけでなく、海に依存している住民の生活にも極めて大きな影響を及ぼす可能性があります。

モーリシャス政府は環境緊急事態を宣言し、国連機関、フランス、日本、インドも支援をはじめましたが、早急な対応が必要とされます。

油で汚れたマングローブ林や生態系の回復には、長い時間がかかるでしょう。詳しい状況が分かったら、今後どのように支援するのがよいのか国際マングローブ生態系協会も、早急にその方策を考えたいと思っております。

今はひたすら、油流出の被害が小さく、そしてモーリシャスの住民の皆さんが一日も早く日常生活を取り戻されることを、心からお祈りします。

国際マングローブ生態系協会
2020年8月


図1.モーリシャスでの油流出の程度(OCHA、2020を引用し、加筆・修正)


モーリシャスのマングローブとサンゴ礁に関するメモ
モーリシャスの総陸地面積は2,040 km2で、モーリシャスの海岸線は322 km(Appadoo、2003)。 モーリシャスには1.45 km2のマングローブ(WIOマングローブネットワーク、2020)と300 km2のサンゴ礁があります(Montaggioni and Mahe、1980)。マングローブの樹高は1.5〜3.0 mで(Fagoonee、1990年)、 優占種はオオバヒルギ(Rhizophora mucronata)、オヒルギ(Bruguiera gymnorhiza)やミズガンピ(Pemphis acidula)、マングローブシダ のミミモチシダ(Acrostichum aureum)もあります(Spalding et al.、2010)。


参考・引用文献

  • Appadoo, C. (2003). Status of mangroves in Mauritius. Journal of Coastal Development 7(1): 1‒4.
  • Fagoonee, I. (1990). Coastal marine ecosystems of Mauritius. Hydrobiologia 203: 55‒62.
  • OCHA (2020). Mauritius oil spill extent. Office for the Coordination of Humanitarian Affairs (OCHA) of United Nations.
  • Montaggioni, L. & Mahe, J. (1980). Caracterisation faciologique des sediments recifaux de l’ile Maurice par analyse factorielle des correpondances. Oceanologica Acta 3(4): 409-420.
  • Spalding, M., Kainuma, M. & Collins, L. (2010). World Atlas of Mangroves. Earthscan, London, UK and Washington, DC, USA.
  • Western Indian Ocean Mangrove Network (2020). Mangroves of Mauritius. Retrieved Aug 18, 2020, from http://wiomn.org/mangroves-of-mauritius/