マングローブに関する素敵な活動の紹介

このWebシリーズ「Amazing Activities in the Mangrove World」(マングローブに関する素敵な活動の紹介)では、
マングローブやマングローブ生態系に関わるフィールドで素晴らしい活動を行っている人々や団体を紹介いたします。

紹介する内容は、科学的知見、実践的なフィールドでの活動、写真、ショートストーリー、新種または希少種/ハイブリッドの発見など様々です。

マングローブに関して素晴らしい活動をされている方がいらっしゃいましたら、自薦他薦問いませんのでISME事務局にぜひご紹介下さい!

新発見!
ヤエヤマヒルギ(Rhizophora stylosa)根圏(rhizospheres)での窒素固定バクテリア群集(diazotrophic communities)について

論文のタイトル:Mangrove–diazotroph relationships at the root, tree and forest scales: diazotrophic communities create high soil nitrogenase activities in Rhizophora stylosa rhizospheres

マングローブと窒素固定バクテリア(diazotroph)との関係:ヤエヤマヒルギ根圏での高い土壌窒素固定酵素活性(high soil nitrogenase activities)の窒素固定バクテリア群集(diazotrophic communities)の形成

論文の要約:マングローブ植物が生育している潮間帯は、窒素を含む落葉落枝(litter)が、繰り返される潮汐で沖に流されるために、土壌の窒素含有量が低い傾向があります。このような環境の下であっても、旺盛に成長しているマングローブが、成長に必要とされる窒素を、どのようにして得ているのかについて、これまで明らかにされていませんでした。この研究では、旺盛な成長に必要な窒素の取り込みについて、沖縄県西表島の船浦湾のヤエヤマヒルギ優占林と干潟を調査地とし、ヤエヤマヒルギと窒素固定バクテリア(diazotroph)との関係を解明するために調査が行われています。その結果、根圏の土壌中に高い窒素固定活性(nitrogenase activity)を示すバクテリアが蓄積していることを発見し、しかも土壌中の生根量が多くなるにつれて、その蓄積は高くなることが明らかにされました。それらの結果に基づいて、ヤエヤマヒルギの根圏での窒素固定バクテリアの相互関係が重要で、この関係があるから、土壌中に窒素が少ない干潟環境でもヤエヤマヒルギ群落が形成されるのではと推察するなど、これまで報告されていない新知見の論文です。

掲載雑誌名と著者:Tomomi Inoue1, Ayako Shimono2, Yasuaki Akaji1, Shigeyuki Baba3, Akio Takenaka1 & Hung Tuck Chan3. Mangrove–diazotroph relationships at the root, tree and forest scales: diazotrophic communities create high soil nitrogenase activities in Rhizophora stylosa rhizospheres. Annals of Botany 2020; 125(1): 131–144 (Editor’s Choice). 1National Institute for Environmental Studies (NIES), 16-2 Onogawa Tsukuba, Ibaraki 305-8506, Japan. 2Department of Biology, Faculty of Science, Toho University, 2-2-1 Miyama, Funabashi, Chiba 274-8510, Japan. 3International Society for Mangrove Ecosystems (ISME), University of the Ryukyus, Nishihara, Okinawa 903-0129, Japan.
URL: https://academic.oup.com/aob/article/125/1/131/5611213

Annals of Botanyの表紙

井上智美博士:国立研究開発法人国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター 主任研究員。これまでに数多くの学術論文を書いており、国際マングローブ生態系協会の終身会員でもあります。また、国立環境研究所と国際マングローブ生態系協会が開設している熱帯沿岸生態系ポータルサイトのリーダーとしても活躍しておられます。
ポータルサイト:Tropical Coastal Ecosystems Portal (TroCEP)